今まで神なんて1度も信じたことがなかった。でも今だけは信じたかった。
誰か・・・この目の前の血を嘘だと言ってくれ。俺の目の前で倒れた少女は幻覚だと言ってくれ。
馬鹿な。こんな弾、簡単によけられたのに。だって俺王子だもん。
それなのに俺をかばって倒れるなんて、馬鹿だろ。
今日の任務は俺と2人でやってた。敵はやはりどいつもこいつも弱いやつらばかり。
ターゲットをさっさと倒して、帰るってときにこのザマ。
1人隠れていたんだか知らないけど、そいつが銃を一発撃った。
それぐらいの弾、避けれるに決まっている。でも最初俺は敵の存在に気づけなかった。(なんていうミスだ。)
が俺の名を呼んだときにはもう遅くて弾丸はすぐそこ。俺は、(が、独りに、)とか思わず考えてしまった。
けれど、その弾は俺にはあたらなかった。・・・が俺を突き飛ばしたから。
だからその弾は俺にあたることなく、の体に、あたった。の体からは血が溢れ、はその場に崩れ落ちるように倒れた。
俺をかばう必要なんてなかったのに。
ああ本当に馬鹿だ。俺は世界で1番馬鹿な王子だ。
愛する女1人守れやしない。ましてや逆に守られてしまった。
救護班はすぐに呼んだが、間に合わないんじゃないか、と考えたくもないことを脳の中では考えてしまう。
の体の弾のあたった部分に手を当てて血を止めようとするがそんなの無駄で、
ただただ俺の手がの血で真っ赤に染まっていくだけだった。
「よかっ、た。・・・ベルに・・・怪我、なく・・・て。」
俺が怪我するのは幾らでも構わない。だからそんなことを言うなよ。
なんだって俺をかばうんだ。ああ哀れな。可哀想な。
俺はちゃんと、避けられたのに。(でも実際は避けられなくて、)
「わかったから、もう喋るなよ、馬鹿。」
「べ・・る、あい・・・・し・・・て・・・・・・」
その瞬間、世界が止まった。
このときばかりはいるはずがないと信じた神を恨んだ。なんで俺じゃなくてなんだよ。
救護班はやっぱり間に合わなくて。(遅すぎるんだ馬鹿野郎。)
は、その息を止めた。それでもなお、血はまだ止まらなかった。
相当打ち所が悪かった。暗殺を仕事としているから、それぐらいわかる。
その血はどんどんと、を抱きしめる俺を真っ赤に染め上げていく。
神を恨んだ日
20070321
の馬鹿。お前が死ぬ必要なんてなかったのに。
20070614(修正)
20070722(変換ミス修正)