いつ好きになったかなんてもう覚えていない。気づいた時にはもう今になっていた。

みんな神威のこと怖いという。間違ってはいないけど、ちゃんと優しいとこだってあ

るし、気を使ってくれる時も、たまにだけどある。彼はちょっと不器用なだけなんだ。

多分そのことをわかっているのは私と阿伏兎ぐらいだと思う。そうだ忘れてた。阿伏

兎も神威に似てあまり優しそうに見えないけど、優しい。(いや神威よりはわかりや

すいか)めんどくさそうにしてるくせにね。私は、神威の全部を支えてあげられるわ

けじゃないけれど、少しでも役にたててるならそれは嬉しいことだ。私には力がそん

なにあるわけではないから戦闘面で支えることは無理だけれど。だって夜兎ではない

から。でも家事とかそういう些細なことでいいならいくらでも私はやるよ。神威の傍

にいるだけで私は嬉しいから。神威は本当に気まぐれな人だけど、私のことはずっと

見ていてくれる。今までも、今も、これから先もずっとずっと一緒にいてくれるのな

ら私は何だってできるよ。できないことと言ったら、別れることだろう。これだけは、

したくない。暗くて寂しい世界から私を救ってくれたあなたに、いらないと言われた

らそれは死ぬのと同じことだから。ね、お願い。ずっと神威の傍に置いててね。一人

にされたら、寂しくて悲しくてとてもじゃないけど我慢できる気がしないんだよ。




に会ったのはもうずいぶんと前の話。偶然、見かけた。路地裏に一人でぼうっと

どこかを見ているわけでもなく、ただただそこに存在していたソレ。まるで人形のよ

うにしていたを拾ったのは本当にただの気まぐれだった。なんとなく、おもしろ

そうだったから。それなのに、今じゃこんなに惹かれてる。今はがいないと俺は

だめになってしまうと思う。こんなに誰かに依存するのは初めてだった。はいつ

でも俺に優しくしてくれるけど、俺はその優しさに対するお礼をちゃんと返すことは

滅多にない。それのせいで時々を不安にさせているのはわかってはいるけれど、

どうやって返したらいいか自分ではよくわからなくて、うまく返せないでいる。それ

でもは俺の傍にいてくれる。昔、1度だけは自分に戦う力があればよかった

のに、と言っていたけれどにそんな汚い力はいらない。汚いものを背負うのは自

分だけで十分だ。にはずっときれいなままでいてほしかった。その白い手を、赤

く染めることだけは絶対にさせたくない。その時は、を守るのは俺の役目だか

はいつも通りでいいんだよ」
とだけ言ったけれど。だから、頼むよ。俺は

なんだってにしてあげるし、いつでもを守ってあげる。だから、どこかに消

えてしまうことだけはしないでよ。こんな俺だって、一応感情は残っているからね。








思いは同じ









20090420(読みづらい)