「嘘、でしょ?」



「今までのは全部遊びだったって言うの?」



「じゃあ今までの言葉も全部、嘘ってこと?」



「あっ、待って…アーサー、アーサー!」



どんよりとした曇り空の寒い冬の日。彼女を呼び出して別れ話をした。
ひとつ、またひとつと嘘をつくたびに胸が痛んだ。
だんだんと顔を歪ませ涙を流していた彼女の顔が今でも頭に焼け残って離れない。



元々は自分がいけなかった。は普通の子だ。それに比べて俺は1つの国である。
今はまだ何もないが、いつか彼女を苦しめてしまうようなことが起こるだろう。
普通の人間と国の恋、である。この先何があるかわからないのだ。
そうしたことで彼女を傷つけてしまうのなら、いっそ自分から離れよう。
いつからかそう思うようになっていった。
これで、いいんだ。そう自分に言い聞かせて早足で歩く。
に言った言葉に嘘は今までひとつもない。本当に愛しくてたまらなかった。
誰よりもが大切で、誰よりも傷つけたくなかった。
遊びだなんてそんなこと、あるわけがない。
きっとこの先も彼女以外の女を愛することなんてできないだろう。
彼女のくれた笑顔も優しさも全部もう胸の奥へとしまった。



お願いだ、聞いてくれ
今だって誰よりも好きだし愛してる
だからこそ、君を守りたいんだ。もう会うことはないだろうけど。
が無事にすごしてくれるなら、俺はそれで…、






真実を知る哀れな男


















20090115
(真実を知らない悲しき女と対、というか英視点。
なんだか英がただの意味のわからない人になってしまった…)