「、もう別れよう」
「本当だよ。もう遊びは終わりだ」
「あぁ、それ以外に何があるんだよ」
「そうだよ、もういいだろう。じゃあな」
重い雲が広がった寒い冬のある日、急に彼に呼び出されたから何かと思えば別れ話だった。
あまりにも突然すぎて私はひどく混乱した。
遊びだったなんて信じられないもの。嘘だなんて信じられないもの。
そのままアーサーは私の言葉を聞かずにどこかへ消えてしまった。私一人その場に残して。
さよならなんて聞きたくなかった。
冬の冷たい空気が私の心にまで刺さってくる。
そのままアーサーとの思い出も全部壊してくれればよかったのに。
あなたのことを思い出せば思い出すほど涙が止まらなくて、どうしようもなかった。
遊びだなんて信じられない。ひとつひとつの言葉愛しくて仕方がなかったのに。
あっさり嘘だと言って切り捨ててしまうなんて。
ずっとあなたと一緒だと信じていた私は、この先どうなるのだろう。
こんな暗い未来を進んで何になるの?
あなたがくれた優しいキスも、優しい言葉も、すべて嘘だなんて。
私まだあなたのことが好きよ。誰よりも愛してる。
嫌なところがあるなら直すわ。だからねぇ、お願いだからまだ傍にいてよ。
私にまた優しく微笑んで。アーサーと一緒にいられるなら何だってするから。
お願い、お願い
これが最後だなんて言わないで。
私にはまだあなたと過ごした幸せな時間が足りなさすぎるの。
その幸せな時間がたとえ偽りだったとしても、それでもいいから。
またあなたの傍にいさせてくれるなら私はそれで…、
真実を知らない悲しき女
20090115
(真実を知る哀れな男と対、というかヒロイン視点です)