「ぎゃっ冷たい!!」
「お前さぁ、もっと女らしく言えないわけ?ぎゃっ、はないだろ…」
「わ、悪かったな女らしくなくて!」

今日はクリスマス。外は昨日の晩から雪が降り出して見事なホワイトクリスマスとなっている。
いつものメンバーでクリスマスパーティーをしようということで、
休暇中にもかかわらずジェームズの家にみんな集まったのだった。
私はといえばシリウスと一緒にケーキの買い出し係である。


「あーあ、どうせなら可愛いリリーと行きたかった!!」
「おうおう言ってろ少年」
「少年じゃないよ、少女!可愛い可愛いちゃん!」
「自分でちゃんとか言うなよ気持ち悪い」
「ほんの冗談だよわかって!」
「はいはい」


リリーと買いに行きたかったのは本当。でもジェームズが
「こんなに寒い中にリリーを買い出しにいかせるなんて君たちは鬼か!」
とキレて暴走しはじめたので結局私たちになった。
あれ、私はいいの?私もか弱い女の子だよジェームズ。
でもシリウスと一緒に行けることになったのは、ちょっと良かったかもしれない。
ただ私はひんまがった性格をしてるから素直にうれしいなんて言わなかったけど!

たくさん降り積もった雪の中をさくさくと二人で歩いていく。
私よりずっと背が高くて、足も長いシリウスは普通に歩いたらすぐに私が追い付かなくなる。
それをわかっているからだろうか。悪態をつきながらも歩調は合わせていてくれる。
そういうことを考えるとなんだかドキドキしてきて、顔が熱くなった。



「おい、顔が赤いぞ」
「へっな、な、何のこと?!」
「何をそんなに驚いているんだよ。熱でもあんのか?」
「全然ないよ大丈夫!気にしないで!あ、ほらついたよケーキ屋さん!!」
「あっそう」


カランコロン

お店に入ると外とは違いとても暖かった。
ガラスケースの中には色々なケーキが並んでいる。
明るい店内のBGMを聞きながら私はわくわくしながらケーキを選びはじめた。
シリウスは、甘いものが苦手だからすごく複雑な表情をしながらガラスケースを見つめている。


「おいさっさと決めろよ。ケーキなんてどれも一緒だろうが」
「そんなことないよ!チョコかクリームか、はたまたホールかブッショドノエルか。それともタルト?」
「キリがねぇそのでかいショートケーキでいいだろ」
「うーん確かにおいしそうだけど、でも、チョコも…」
「じゃぁチョコでいいな」
「えっ!ま、まって。でもやっぱり……」
「結局どっちなんだよ」
「えっと、えぇっとー…」
「…そんなに悩むなら全部買えばいいだろ」
「いいの?!」
「別にケーキがふたつあったって全部食えるだろ?」
「う、うん!そうだね!そうしよう!すみませーんこれとこれください!」


ふ、ふたつの種類のケーキが一度に食べれるなんて…。
やっぱりお坊ちゃんの考えることは違うなー!すげーよシリウス!
私はシリウスのその言葉にすごく嬉しくなってにこにこしてたら、
シリウスに「アホ面すんな」と頭をべしっ、と叩かれた。


「ちょっとシリウス!私女の子だよ!」
「だからどうした」
「キズものになったらどうしてくれるのさ!責任とってくれるの?」
「かまわないけど」
「ふーんそう…って、え?」
「だから別にかまわないって言ってるだろ?」
「え、や、だからそれはどういう意味で…」
「俺がもらってやるって言ってるんだよ、このバカ」


そういうシリウスは悪戯が成功したときみたいにすごくいい笑顔をしてて、
私はそんなシリウスをみて驚いて、ドキドキして、体中がすごく熱くて、顔が赤くなった。
もうバカって言われたのも全然耳に入らなくって、(いや聞こえたけど)どうしようもなかった。

「ほらいくぞ」
「う、ん」

お店の人から商品を受け取ると(シリウスが全部持ってくれた)、
また寒い外へと出ていった。相変わらず外は寒くて、でも私はまだ顔を真っ赤にしたままで。


「シリウス」
「なんだよ」
「さっきの、本当?」
「あぁ」
「嘘じゃないの?からかってるだけでしょ?」
「嘘じゃないし、からかってもないけど」
「でも、だってシリウス…」
「ごちゃごちゃうるせぇな。なぁ」
「は、はい!」


「、愛してる」





その一言は私をもっともっと真っ赤にさせた。
(だって、いつも、憎まれ口しか言ってないのに)
本当にどうしていつもシリウスは私のことをこんなにドキドキさせるんだろう。
愛してると言った本人を見て見れば、彼は彼で顔を少し赤くしていた。
それがちょっとおかしくて。なんだシリウスも私と一緒なんだと思ったら、だんだん頬が緩んできた。


「へへ、私も、愛してるよ」
「当たり前だろバーカ」


帰り道は二人で手をつないでジェームズの家へと向かった。
寒いけど、つないだ手からシリウスの体温が伝わってきてなんだか暖かい気持ちになった。
まだ雪は降っているけど、もう寒くなんてなかった。






馬鹿な君へ愛してる
(でもそんな馬鹿なとこが愛しくて、)















20081224
(書いてておもった。シリウスじゃない。なぜなんだ。マヨラのせいか。)