普通だったら、女の子同士の恋というのはおかしいのだろう。
でもお互いに好きなのだから性別なんて気にする必要はないと思う。
それにこの世界自体少なくとも普通ではない。
私はこんなちっぽけなことを気にしているわけではない。
別に不満があるわけではない。むしろ満足しているのだ。
誰も追いかけてこない平和な世界。
大切なあなたのいる世界。それはとても心地のよいものだった。
だからこそ、彼女がいなくなるのが怖いのだ。
私は永遠の存在である。だが彼女は違う。
彼女が、がいなくなったら私は一体どうなってしまうのだろうか。
そう考えるとついため息をついてしまうのだった。
ため息をつくと同時にが声をかけてきた。
いつもはこの時間は来ることがないというのになんとも珍しい。
私に声をかけながらは私の隣へ腰掛けた。
「ふぅ…」
「輝夜」
「あら、来ていたの」
「うん。なんとなく輝夜に呼ばれてる気がしたからね」
「そんなこと言っても私は落ちないわよ」
まぁ十分に落ちているからこれ以上落ちることもないのだが。
こんなこと、口がさけてもに言うことはないだろう。
きっと彼女は気分をよくするに違いないのだが、
自分の中のプライドが言葉にすることを拒む。ただ、恥ずかしいだけだ。
「そんなことよりさ」
「何よ」
「なんでため息ついていたの?」
「ため息、ねぇ…」
「輝夜も悩み事するのね」
「それじゃぁ私ただの馬鹿じゃない。、あなた私のことなんだと思っているのよ」
「何様、姫様、輝夜様」
「ちょっとふざけないで頂戴!」
まったくなんなんだ今日のは。
いつもより少し落ち着きがないなと思いながらも私は会話を続けた。
「ごめんごめん。じゃあ輝夜も私の質問に答えてよ。気になるじゃない」
「う、しょうがないわね…」
「うん、何?」
「私は永遠の存在だわ。でもあなたは違うでしょ」
「ふむ」
「だからいつかはいなくなってしまうわ」
「……」
「それはその、すごく、寂しくて辛いわ。それを考えてため息をついていたのよ…」
「……」
「はい、この話は終わり!もう気にしないでちょうだい!」
「あのさ、輝夜」
「な、何よ」
「私も死なないよ」
「は?」
何を言い出すのだ。彼女は私とは違って一応普通の住人だろう。
永遠なんてそう軽々と存在するものではない。
だから当たり前に彼女は永遠の存在ではないと思っていた。
……まて。よく考えてみると一度でも彼女にそんなことを聞いたことがあっただろうか?
いや、ない。この世界は普通ではない。だから永遠がそう存在することも珍しくないのだろうか?
では私が今まで悩んでいたのはどうなってしまうのだ。
無駄にため息をついていたということになってしまう。なんと馬鹿らしいことだろう。
「だから、私も死なないよ。気づいたらこの世界にいた。死ぬことはない。ただそれだけ」
「なんなのよその変な理屈は」
「うーん私にもわからないや。それにしても、さっきの輝夜……なかなか可愛かったよ」
「っ!う、うるさいわね!さっきのは忘れてちょうだい!全部嘘よ嘘!」
「ふふ、そういうことにしておいてあげる!」
「!」
「あ、輝夜顔真っ赤だよ」
「あぁもう知らない、知らないったら!」
「好きだよ輝夜」
「……っ私だって同じだわ」
幸せのため息
(20081203 ツンデレ姫様)