「大好きでした。」
(今でも変わらず愛しています)












私の心とは反対で、外はピカピカに晴れてた。
ここ最近どんよりした雲が広がっていたのに、なんでこんな日に限って晴れるんだろうか。
今日は授業のないお休みの日。いつもならリリーとおしゃべりするとこだけど、
今日のリリーはジェームズとデート。さっき笑顔でいってらっしゃいって言った。
リリーは幸せそうだな。好きな人と心が通じあってる。ジェームズといる時のリリーは本当にうれしそうだ。
最初はそうでもなかったけど、今ではホグワーツ1の名物カップルだ。
私もリリーみたいに、綺麗で勉強もできてあんな風にやさしい子だったら、この恋は叶ったのかなぁ。



私は昨日の夜、失恋した。
ずっと好きだった。少ししゃべれただけで本当にうれしくて、
授業で席が近いだけでもドキドキして、
あの人が、傍にいるだけで毎日がすごく幸せだった。
けれど、その鮮やかに色づいた日々はもう壊れてしまった。
彼は誰にも言わないで、影でこっそり1人の女の子と付き合ってた。
可愛くて、守ってあげたくなるような子。私なんかとは大違い。
神様ってほんと不公平だ。



偶然見てしまった。見るつもりなんてなかったのに。
ただちょっと、目が覚めてホットミルクを飲みに行こうとしただけ。
2人は火の小さくなった暖炉の前で、見つめあいながら幸せそうに笑ってた。
私は、その場から動けなかった。心臓がバクバクいってた。
気づかれないように急いで部屋に戻った。



胸が苦しくて、仕方がなかった。
私だって好きなのに。違う、私のほうがもっともっと好きなのに!
初恋は叶わないって本当なんだなって思った。
私がこの恋にもっと早く気付いていたら、この恋は叶った?
私がもっと早くあなたにこの想いを伝えていたら、この恋は叶った?
過去を悔やむばかりで、だけど今から直せることなんて何1つなくて。
恋はこんなにも苦しいものなのかと思った。
2人の絆を壊すなんてこと、私にはできない。


彼も彼女も私の友達だから。



数日後、彼女が私に彼と付き合ってるという話をしてきた。


「誰にもいってないけど、なら信用できるからって。シリウスも、にならいいって。」


ああ、私は2人にこんなにも信用されてる。
本当は心の中でぐるぐると酷い嫉妬心が渦巻いているというのに。


「ねぇ、私シリウスにバレンタインにチョコをあげようと思うの。何作ったらいいかな?」


そうね、素敵ねバレンタインに手作りチョコを渡すなんて。
できることなら私もしたかった。
でも、どうせ作っても彼は受け取ってくれないだろう。
もし受け取ってくれたとしても、それはどうせ義理扱いに決まってる。



私にもう、彼の話なんてしないで。これ以上私を苦しませないで。
私だって好きなのに、チョコだって渡したかったのに。






こんな酷く汚い心をもった私なんて、なくなってしまえばいいのに。
彼の話を聞くだけで苦しい。彼の声を聞いたらまた愛おしく感じてしまう。
彼を見ただけでまたどきどきしてしまうから。2人を見るとまた悲しくなるから。








20080223
(私だって好きなのに、今だって諦められないのに。っていう気持ち。)